発想を引き出すために、創造的なワークショップを社内でも活用しよう!
ワークショップとは
ワークショップは、学びや創造、課題解決やトレーニングなどに有効な手段として有効である。ものづくり体験などもワークショップと呼ばれるが、ここでは、企業、団体・組織などで、課題解決をしようとする場合のアイデア出しや合意形成の場としてのワークショップとして話を進めていこう。
ワークショップは、企業や団体、組織が課題解決をしようとする時や課題を抽出し今後の方針を立てる時、ファシリテーターと呼ばれる進行役が中立な立場で意見やアイデアを引き出しゴールに向かって合意形成を目指す。参加者は、立場や上下関係を越えて平等な立場で意見やアイデアを出し合うため、いわゆるワークショップ形式の会議であれば、トップダウンの会議と違い、創造的な場となり、気付きや学びの場ともなり、新しい発想が生まれて来る場を創造できる。
ワークショップが必要な背景
企業や団体、組織、地域においても、次世代に向かって躍進し成長していくために「革新」「改革」などイノベーションが求められ、新しい展開に向かって変化が必要になっている。しかし、変化・革新を求めて日々、会議やミーティングを行っていても、全く意見もアイデアも出ず、何の進展もないまま数年が経過しているケースをよく見かける。意見やアイデアを出し成果に向かって躍進するためには、自由な発想ができる場や仕組みが必要で、これまでのトップダウンや一方通行の会議ではなく、創造的な発展をするためには、社内に自由に発想できる場が必要となる。ワークショップは、自由な発想で、「学びや気付き」何かを始めるための「きっかけづくり」の場として有効に機能する。
ワークショップが必要な場面
何でもかんでもワークショップをすればいいものでもなく馴染まないテーマもある。例えば、予算や資金計画、賃金案などコアなメンバーで決定しなくてはならないテーマには馴染まない。
一方、「問題・課題意識の共有」「進むべき方向性の設定」「解決策の創出」「チーム内の合意形成」など「自分たちの会社・仕事に、どんな課題があるのか」「自分たちの会社・仕事をどう変えて行きたいのか」「会社や部門・組織の将来はどうあるべきなのか」「そのために何をするべきなのか」などのテーマはワークショップが有効である。会社のこれからの姿をコンサルタントに決めてもらうのではなく、自分達で意見を出し合い、自分達で共有し、自分達で合意形成することにより、仕事や会社へのモチベーションもアップしてくる。
ワークショップで何か答えがでる訳ではないが、自由に発言できる創造的な場なので、思いもしない発想が生まれてくることがあり、また、組織内の課題や進むべき方向性や考え方を体系的に整理し共有できる。
主にこんな場面で活用できる。
・社内のコミュニケーションが疎遠になっているので社員どうしで共通のテーマを持ちたい
・社員の想いや考え、ニーズを引き出したい
・新事業や商品開発を始めたいがその骨子となる案をまとめたい
・業務改善案として社内のどこにムダがあるのか、体系的に整理し共有したい
・企業や団体、地域のあるべき姿を取りまとめたい
例えば、こんなテーマ
・ムリ・ムダ・ムラ発見ワークショップ
・課題発見ワークショップ
・業務効率アップのための片付けワークショップ
・経費削減ワークショップ
・新商品開発ワークショップ
・企業、組織、地域のあるべき理想の姿ワークショップ
・自社、地域の資源発見ワークショップ
・自分がお客さんだとしたら、こんな商品が欲しいワークショップ
テーマは様々!
・今、抱えている課題を解決するために、どんなことができるか?
・そもそも、どんな課題があるのか体系的に整理して共有したい
・進むべき方向を探りたい
などなど、ワークショップはトップダウンや一方通行の発言しにくい会議と違い、意見やアイデアを共有し合意形成する手段としてワークショップが最適である。
普段の会議もワークショップ化しよう!
ワークショップといえば、大人数が集まり何チームかに分かれて様々なツールを使って、かなり大規模なイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。普段行われている会議やミーティングもワークショップ形式で行えば、創造的な会議になる。
普段行われている会議は、主に、「連絡・確認会議」「調整会議」「企画・検討会議」「意思決定会議」「問題・課題解決会議」などの種類が主に行われている。「連絡・確認会議」は、ワークショップ形式にする必要はない。この中で特に「企画・検討会議」「意思決定会議」「問題・課題解決会議」などは、ワークショップに向いている。課題の抽出、目標設定、活動の検証と改善策、部門や会社のビジョンなど、トップダウンの会議では意見やアイデアはなかなか出てこないが、ワークショップ形式で会議やミーティングを行えば、創造的な成果が期待できる。その為に、中立な立場で想いを引き出し合意形成に向けてサポートする「ファシリテーター」というスキルを持った人材が必要になる。
ファシリテーターの役割
ファシリテーターとは、組織やチームなどにおいて、中立な立場で会議の進行をサポートするファシリテーションを行う者を指す。一般的に「容易にする」「促進する」などの意味があり、意思決定などには関与せず、参加者の意見や思いを引き出しまとめ、合意形成に向けて場をコントロールする。
ワークショップの効果
トップダウンや一方通行の会議では、「最後まで発言しない」「発言する雰囲気ではない」ということがよくあり「我が社の社員は大人しいのであまり発言しない」と悩んでおられるリーダーも多いことと思う。ここで少し考えてみよう。「社員が大人しいのではなく、発言できる雰囲気ではない」というケースはないだろうか。上司やリーダーのこれまでの経験や実績から、「今後、このようにしてください」「このように動け」などと一方的に言われると筋は通っているし、言っていることもよく分かるけど、その半面、抵抗する気持ちも出てくる。また、リーダーが意見やアイデアを求めても、最後まで話を聴かないまま意見を否定されたり、これでは不満が溜まる一方である。ワークショップ形式の会議では、平等な立場ファシリテーターが発言しやすい雰囲気をつくる。ワークショップの目的は、沢山の意見やアイデアを引き出し、合意形成に向かってまとめることを目的としているので、一人でも発言しない人がいると合意形成できない。全員が同じ意見ということはあまりない。それでも前に向かって合意形成するとしたら、「今回は自分の意見は通らなかったけど、しっかり意見は言ったし、理解もしてもらえた・・・自分の考えとは少し違うけど、まあ頑張ってみよう!」といったような前向きな合意形成が可能となる。
ワークショップ企画
ワークショップ企画には、様々な要素が必要となる。中立な立場で会議を進めるファシリテーターは、「どんな目的で」「どんな成果が欲しいのか」「そのためにどんなメンバーが必要なのか」などなど、予め目的とゴールを把握しておく必要があり、ワークショップ本番に向けて根回しや準備が必要となる。
企画意図を理解しておく
予め企画意図を理解し、どんな目的で何を解決しようとしているのか、どんな成果を求めているのかを理解しておくと、その想いをワークショッププログラムに反映し有意義に進めることができる。
誰が参加するのか確認する
メンバーの選定は重要である。同じ考え方の方ばかり集めても同じような意見しか出ない。タイプの違う人を集めるのも一つの方法である。同じ部署の人ばかりでもなく部署を横断して関連する違う立場の方に集まってもらうのも色々な意見やアイデアがでて新しい気付きにも繋がる。また、部長や所長など部門のリーダーが参加するのかどうかも検討要件となる。経験豊富な部長クラスの方が参加すると部長の独壇場の会議となる可能性もあり部員からは意見の何も出ないという顛末はよくある。テーマによっては若手に任せてみるのも人材教育の一環として、ここは部長には我慢してもらうのもいいと思う。
場の設定
場の設定は重要である。6~8名の会議で相手に手が届かない遠い場所にいるのでは、発言しようという雰囲気にはならない。
ワークショップの進め方
1、趣旨と目標の共有
この会議何のために行われどんな成果を求めているのかを確認
2、ルールの確認
平等な立場で議論を進めるために「否定しない」「相手の意見に建設的に付け加える」など円滑に進むためのルールを設定します。
3、必要に応じて自己紹介
初めて会う方がいる場合は自己紹介が必要だが、全員顔見知りの場合は、アイスブレイクのつもりで近況報告などからはじまるのもいい。
4、意見の発散 ~ 論点・議論の軸の絞込み ~ 収束 ~ まとめ
ここは、「プロジェクトを活性化させる創造的な会議の進め方」で詳しく解説するが、ワークショップや会議には一定の進め方がある。これを無視すると取り留めのない、何も決まらない愚痴をいって発散しただけの会議になってしまう可能性もある。
会議は、終わり方が重要
詳しくは「プロジェクトを活性化させる創造的な会議の進め方」で解説するが、会議の終わりによくある光景として「A案、B案、C案とありましたが、A案に決定しようと思います。」「よろしいですか?」「他に何かありませんか?」「無いようなのでA案に決定します!」こんな光景に見覚えはないだろうか。一般的によくある光景だが、実はここに落とし穴がある。「何かありませんか?」と言われても、何かあっても言える雰囲気ではないし、そもそも発言の機会が無かったのにA案になってしまった。「別にいいけどね!」と内心で思っているケースは非常に多い。
ここは、ファシリテーターが全員から意見を引き出し全員の総意としてアウトプットするようにしなければならない。全員が同じ意見ではないかもわからないが「今回、自分のB案は通らなかったが、しっかり意見も言えた」「理解もしてもらえた」「とりあえずA案で頑張ってみよう!」こんな感じで全員の合意形成ができる終わり方が重要である。
この時ファシリテーターは、事前に自分の考える落としどころを用意しないことをお勧めする。
ファシリテーターが事前に落としどころを用意していると、そこに向かって強引なリードになり、出来レースのような会議になってしまう可能性があり、参加者は敏感に察知し抵抗したり発言やアイデアを出す意欲を無くしてしまう可能性がある。ワークショップや会議は生き物である。その場で気付き、気付かされ、参加者全員でゴールに向かうためにファシリテーターは中立に参加者の考えを引き出しまとめることが重要である。